メカニカルカーボンの開発
メカニカルカーボンとは
炭素(元素記号:C)を元素として構成される素材「カーボン」。軽量で強度が高く、様々な製品に使われている素材です。富士カーボン製造所では、カーボンの中でも高い機能性をもち、工業用製品につかわれる「メカニカルカーボン」の開発に取り組んでいます。
メカニカルカーボンとは、自己潤滑性が高く、相手素材を傷つけにくい特性があり、摺動面や、接合面、軸受けや歯車などに採用されています。また、耐熱性、化学的安定性、高熱伝導性にも優れており、過酷環境下(高温・水中・腐食雰囲気・無潤滑)でも使用可能です。また低比重で軽く、低騒音など様々な素材特性があり、銅やアルミニウム、鉄などの金属はもちろん、樹脂などからの材料転換素材として期待が寄せられています。
代表的な素材との特性比較
特性 | カーボン (メカニカルカーボン) |
銅 | アルミ | 樹脂 |
---|---|---|---|---|
摩擦係数 | 0.15-0.25 | 0.35-0.45 | 0.75-0.85 | 0.1-0.5 |
耐熱性 | 400℃ | 300℃ | 300℃ | 150℃ |
比重 | 1.5-1.8 | 8.9 | 2.7 | 2 |
線熱膨張 | 5×10-6 | 10×10-6 | 23×10-6 | 100×10-6 |
※一般的な値となります。ただし、条件によって異なる場合があります。
カーボンは、自己潤滑性、耐熱性、化学的安定性、高熱伝導性に優れており、過酷環境下(高温・水中・腐食雰囲気・無潤滑)でも使用が可能です。また、低比重な為、軽量低騒音といった優位性を有します。
使用例
軸受
水中ポンプ、家庭用給湯器など
歯車
開発中
開発材一覧(代表特性)
Wet用
材質名 | かさ密度 g/㎤ |
硬さ HSC |
曲げ強さ MPa |
摩擦係数 | 線熱膨張率 10-6/K |
限界PV値 MPa・m/s |
耐熱温度 ℃ |
---|---|---|---|---|---|---|---|
CX2011RG | 1.66 | 81 | 53 | 0.11 | 測定予定 | 10.4 | 250 |
CX2011RH | 1.7 | 82 | 59 | 0.11 | 測定予定 | 14.2 | 300 |
CX2121RH | 1.81 | 75 | 66 | 0.17 | 測定予定 | 10.4 | 300 |
Dry用
材質名 | かさ密度 g/㎤ |
硬さ HSC |
曲げ強さ MPa |
摩擦係数 | 線熱膨張率 10-6/K |
限界PV値 MPa・m/s |
耐熱温度 ℃ |
---|---|---|---|---|---|---|---|
CX2111RE | 1.63 | 90 | 43 | 0.20 | 測定予定 | 19.6 | 250 |
CX2111RG | 1.72 | 80 | 56 | 0.30 | 測定予定 | 9.8 | 300 |
CX2111RH | 1.78 | 95 | 70 | 0.37 | 測定予定 | 3.7 | 300 |
社内評価設備
リングオンディスク試験
(参照JIS規格:JIS K 7218)
摩擦摩耗試験機
A:試験機本体 B:制御部
測定条件範囲(試験機スペック)
・荷重:10~100kg(0.5~9.8MPa)
・回転数:30~2,000rpm(0.036~2.25m/s)
・PV値:0.02~22MPa・m/s
リング
試験片(ディスク)