カーボンブラシとは
カーボンブラシとは
モーターに使われる機能部品です。
カーボンブラシは、普段生活の中で何気なく利用している自動車や、電気製品の中で、活躍しています。
こんなところにカーボンブラシ
車載用
パワーウインド、スタータ、ワイパー、パワーシート、スライドドア、ルーフ など
電動工具用
グラインダー、ドライバ、ドリル、チェーンソー、ハンマードリル など
家電用
掃除機、ジューサーミキサー、ドライヤー、ミシン、ポンプ、高圧洗浄機 など
産業用
架線用集電子、スリップリング、一般直流機、産業モータ など
マイクロモーター用
OA機器、玩具、ドアミラー、ドアロック など
上記は一例です。これらの製品に内蔵されているモーターは、日常生活では直接手に取ったり見たりできない製品ばかりです。その中に使われているカーボンブラシという製品は、一般的に見たり聞いたりすることも少ないと思います。このページで、少しでもカーボンブラシについて知っていただければ幸いです。
名前の由来
カーボンブラシという名前から、カーボンペーパーやカーボンファイバーと勘違いされがちですが、紙や繊維ではなく炭素(カーボン)を使用したブラシと言う意味でカーボンブラシと呼ばれています。 しかしながら、ブラシという名前からは、歯ブラシや絵筆のような毛を束ねたものを想像してしまいますが、モーターの歴史にその答えを見つける事ができます。
19世紀中頃に発明された初期のモーターや発電機では、銅の線を束ねた刷子(銅編みブラシ)の様なものが使用されていました。 その後の発明により、黒鉛(カーボン)を使用したブロック状のかたまりに置き変わりました。それゆえ、部品の名称として「ブラシ」という名が残り、カーボンブラシと称され続けています。
カーボン
炭素(カーボン)は、ダイヤモンドや黒鉛などの異なった形態で自然界に産出します。また、人工的にも生産されています。
身近なところでは、焼き肉やバーベキューで利用されている備長炭や、鉛筆(シャープペン)の芯を利用していますが、備長炭は木を蒸し焼きにしたものであり、鉛筆の芯は鉱山から取れた黒鉛の粉末を固めて焼いたものです。これらは、炭素(カーボン)からできています。近年では、テニスラケットやゴルフクラブなどのスポーツ用品からスペースシャトルの機体まで幅広く利用されていることをご存知の方も多いと思います。
この様に、炭素(カーボン)は多種多様な形で利用されるものですが、その中で黒鉛の粉末が、カーボンブラシの主成分として使用されています。
黒鉛の特徴
化学的
軽い。鉄などの様に錆びない。
高温になると溶けずにゆっくり燃える。
機械的
摩擦が低く、滑りが良い。
熱・電気的
金属の様に、熱と電気を良く伝える。
- 軽量
- 防錆
- 潤滑性・摺動性
- 熱伝導性・導電性
カーボンブラシの役目
カーボンブラシの材質
材質 | 製造方法 | 主な用途 | 備考 |
---|---|---|---|
電気黒鉛質 | 原料を焼成した後、さらに高温(2500℃以上)にて黒鉛化を行う | 大型・中型の産業用モータ | 高価 |
天然黒鉛質 | 天然黒鉛を主原料として焼成する | 高速スリップリング | 低摩擦 |
炭素黒鉛質 | 人造黒鉛を主原料として焼成する | 電動工具、小型交流機 | 負荷、振動、ブレーキ、雑妨 |
樹脂結合質 | 合成樹脂を結合材として樹脂の硬化温度で熱処理する | 電気掃除機、小型直流機 | 高速 |
金属黒鉛質 | 金属粉末と黒鉛粉末を混合して焼結させる | 電装用モータ、小型直流機 | 低抵抗率 |